絵画作品一覧
悼(いた)む天地月-天草から-

悼(いた)む天地月-天草から-

発表年
2013年
サイズ
F50
出展
茨城芸術祭
作品について

日野耕之祐先生が急逝された。前々日は終日ぼくと四谷で一緒だった。4時半に外に出ると、「お茶でもしていくか」といつものようにおっしゃり、わずか20メートルほどのスクワール麹町に、ぼくの手をしっかりつかんで歩かれて入った。先生はバニラアイスクリームをスプーンで少しずつ口にされながら、2時間ぐらいおしゃべりをされた。二人だけでいろいろなことをあれ程語り合ったことはそれまでなかったと思う。駅前からタクシーに乗ってもそれは続いた。そして、玄関を上がった先生は、ぼくの方は振り返らずに右手をあげて「ありがとう~」とおっしゃって奥に消えられた。それが今生の別れとなった。9月3日先生は心不全でお亡くなりになった。88歳の米寿を帝国ホテルでお祝いした日から5カ月だった。弟子として40年、最後となるあの日を師匠と充実して過ごせたことが一番の想い出となった。合掌。

この絵は4月に天草を取材してから考えていた次のテーマの処女作だ。三岸節子の画いた崎津教会の作品に触発されて日野先生が画いた「天草驟雨」シリーズがあるが、ぼくもいつかこの場所をモノにしたいと考えていた。昔先生を天草に案内した熊本の親友に今回ぼくも世話になった。これは試作としての50号である。これからもっと深めたい。天草の片田舎にもあの日を悼み復興を祈る人々のいることを表現したかった。三岸も先生も丘の上から画いたが、ぼくは入り江の反対側から描いてみた。

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