絵画作品一覧
刻を悼(いた)む

刻を悼(いた)む

発表年
2012年
サイズ
F120
出展
日洋展
作品について

この作品がほぼ完成した3月の終わり、関係している学校の入学式に祝辞を依頼された。話す内容に不足点を考慮すると、東日本大震災の現場をじかに見ていないことだった。ぼくは仙台のホテルをネットで予約して、すぐ高速道路を北に飛ばした。1時過ぎ一関インターを降り、真っ直ぐ陸前高田に向かった。残雪の残る峠を越えると津波にさらわれて何もない街に下りた。4階建てのマンションか、車が屋上に置き去りにされていた。いたるところがれきの山だった。枯れても残った一本松の下でがれきを拾って車のトランクに積んだ。それから気仙沼・南三陸町・女川・石巻・東松島と海岸線を回ってホテルにたどり着いたのは9時だった。東京から600キロを走ったことになる。完成していたアトリエの絵が、がれきの炭で描き変ったのは3日後だった。今までの甘い絵から、悼む気持ちの伝わる絵になったと思う。黒は空ではない。ぼくの鎮魂のこころの色だ。世界中の教会が日本の3.11を悼む鐘を鳴らしているように…。

小牧 幹

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